テラナスR錠5(塩酸ロメリジン) 販売中止に伴う留意点

テラナス®錠5(塩酸ロメリジン) 販売中止に伴う留意点
(診療向上委員会より)


 要旨:片頭痛予防薬として使用されているテラナス®錠5(塩酸ロメリジン)が販売中止となる見通しである。現在、テラナスで症状がコントロールされている患者には、代替薬として同一成分であるミグシス®錠5mgに切り替えて塩酸ロメリジンによる治療を継続することが可能である。

1.テラナス®錠5(塩酸ロメリジン)販売中止の経緯

 塩酸ロメリジンは鐘紡株式会社(現MSD)とアップジョンファーマシュウティカルズリミテッド(現ファイザー)の2社で共同開発された薬剤で、テラナス®錠5(MSD社)、ミグシス®錠5mg(ファイザー社)の2つの販売名で1999年に発売され、片頭痛の予防薬の第一選択として使用されるようになった。しかしながら、この度MSD社はテラナスの販売を中止することを決定したため、2016年4月1日から経過措置となり、2017年4月1日に薬価削除となる。


2.テラナス®錠5(塩酸ロメリジン)治療変更時に配慮すべき点

 片頭痛予防薬として現在保険請求が認められる薬剤は、㈰ロメリジン、㈪バルプロ酸(デパケン・セレニカR)、㈫プロプラノール(インデラル)、㈬ベラパミル、㈭アミトリプチリン等である。
 『慢性頭痛の診療ガイドライン2013』では、ロメリジンを「月2回以上の発作がある片頭痛患者にCa拮抗薬ロメリジンを10mg/日経口投与すると、8週後には64%の患者で片頭痛発作の頻度、程度の軽減が期待できる。有害事象はプラセボと同程度で安全な薬剤として、片頭痛予防薬の第一選択の1つとして勧められる」と位置づけている。1)
 片頭痛予防薬にはそれぞれ特性が異なる。現在テラナスで症状がコントロールできている患者に対しては、同成分であるミグシス®錠5mgに切り替えて、ロメリジンによる治療を継続することが可能である。


3.ミグシス®錠5mg(塩酸ロメリジン)での治療の際の留意点

 ミグシス®錠5mgはテラナス®錠5と同成分であり、有効性、安全性、用法用量はテラナス®錠5と同一である。用量は10mg分2で一日最大20mgまで増量できるが、安全性が高い薬剤であるため、十分な臨床効果が得られるまで増量できる薬剤である。
 ミグシスを含めた予防薬の効果判定には、少なくても2か月を要する。有害事象がなければ、3〜6か月は予防療法を継続し、片頭痛のコントロールが良好になれば、予防療法薬を漸減し、可能であれば中止することが望ましい。2)


1),2)慢性頭痛の診療ガイドライン2013,日本頭痛学会