日本頭痛学会ニュースレター6号 2011年8月

3月11日の東日本大震災地震に際しまして、罹災された学会員の皆様に心よりお見舞い申しあげます。
また今も厳しい環境の中で、懸命に治療・救護にあたっておられる学会員の先生方が多数いらっしゃることと存じます。
どうぞくれぐれもご自愛ください。また学会員の皆様の安全と、一刻も早い復旧をお祈り申し上げます。

  1. 第39回頭痛学会総会学会長荒木信夫先生よりご寄稿
  2. 第39回頭痛学会総会のご案内
  3. 頭痛学会バルプロ酸ナトリウムのガイドライン(暫定版)を公開致しました。
  4. 震災支援プロジェクトとして「宮城及び栃木で頭痛の啓発ラジオ放送」を放送中です。
  5. 頭痛研究のトピックスを更新しました。
  6. 慢性頭痛の診療ガイドライン改訂作業のお知らせとご意見の募集
  7. 頭痛関連研究会(第3回 Asian Regional Congress of Headache)のご案内

【1】第39回 頭痛学会総会学会長荒木信夫先生よりご寄稿

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埼玉医科大学 神経内科 教授
荒木 信夫 先生

本年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心よりお見舞い申しあげますとともに、1日も早い復興をお祈り申し上げます。
この度、第39回日本頭痛学会総会の会長を拝命し、2011年11月25日(金)~26日(土)大宮ソニックシテイにおいて開催させていただくことになりました。本総会では「片頭痛と自律神経」をテーマに、頭痛に関する基礎研究のみならず、トリプタンの普及により発展を遂げた頭痛医療について幅広い観点から多くの方々に議論していただき、頭痛医療のより一層の向上を目指して、鋭意準備しております。
日本頭痛学会は平成9年に、それまで24年間活動してきた「頭痛研究会」をもとに発足しましたが、年々会員が増え、現在の会員数は2000人を超えるまでになっております。この間、「慢性頭痛治療ガイドライン2002」、新しい国際頭痛分類である「ICHD-Ⅱ日本語版」、「慢性頭痛の診療ガイドライン」などが学会から出版されました。このうち慢性頭痛の診療ガイドラインは、次回の改訂に向けて2010年11月、新たに委員会が設置され、日本神経学会、日本神経治療学会、日本脳神経外科学会とのコンソーシアムをつくり、約1年で作成すべく活動中です。また、2005年より頭痛学会専門医制度が発足し、2008年には専門医試験がスタートしました。現在725名の日本頭痛学会専門医が誕生しております。さらに、昨年は日本頭痛学会指導医制度も発足いたしました。
このような時期に日本頭痛学会総会の会長を務めさせて頂くことを教室員一同、大変光栄に存じております。今回は会場として大宮ソニックシテイを選定いたしました。当施設は新幹線でのアクセスも可能な大宮駅から至近距離にあり、首都圏からいらっしゃる方々ばかりでなく地方からの参加の方々にも大変便利な場所であります。様々な分野の多数の方々にご参加いただきたいと思っております。
なお、特別講演の演者として、三叉神経血管説の生みの親であるハーバード大学のMoskowitz先生と、国際頭痛学会で頭痛診療の教育分野の第一人者であるPurdy先生をお迎えする予定です。本年6月にベルリンで行われました第15回国際頭痛学会は約1500名が参加し、熱気にあふれておりました。本学会も、年々参加者が増加し、一般の方々の「頭痛」に対する関心も高まってきております。実り多い充実した学会になりますよう心より祈念いたします。(平成23年7月14日)

【2】第39回 頭痛学会総会のご案内

会 期
2011年11月25日(金)・26日(土)
会 長
荒木 信夫 (埼玉医科大学 神経内科 教授)
会 場
大宮ソニックシティ
学会テーマ
「片頭痛と自律神経」
演題募集期間
2011年6月2日(木)~7月26日(火)正午 ※ 8月2日(火)正午まで延長されました。

詳細はホームページをご参照ください。(http://jhs39.umin.jp/

【3】頭痛学会バルプロ酸ナトリウムのガイドライン(暫定版)を公開致しました。

はじめに日本頭痛学会から厚生労働省に対してバルプロ酸ナトリウムの片頭痛発作の予防的治療の要望により昨年2010年10月29日より片頭痛に対してデパケン®が保険適用可能となっておりました。このたび、厚生労働省は2011年6月16日にデパケンに加えて、興和のセレニカR(セレニカR顆粒40%、セレニカR錠200mg、セレニカR錠400mg)についても、「片頭痛発作の発症抑制」の追加適応を承認されました。片頭痛発作の発症抑制で用いる場合の用量は、通常量が1日400~800mg、最大量が1日1000mgとされ、てんかんや躁うつ病の治療のためにバルプロ酸ナトリウムを用いる場合の通常量(400~1200mg)とは異なることに注意が必要です。詳細につきましては、頭痛学会HP頭痛学会バルプロ酸ナトリウムのガイドラインの項目もぜひ御覧下さい。
http://www.jhsnet.net/bpgl_20110329.html

【4】震災支援プロジェクトとして、「宮城及び栃木で頭痛の啓発ラジオ放送」を放送中です。

震災を乗り越えるための支援プロジェクトとして、「宮城及び栃木で頭痛の啓発ラジオ放送」を放送中です。
実施期間 2011年7月20日,27日 8月3日,10日,17日(水)毎週水曜 計5回放送
番組タイトル:もっと知ってほしい 頭痛のはなし
FM仙台 9:05頃~9:15頃 「クレッシェンド」番組内にて放送
FM栃木 9:30頃~9:40頃 「B-UP」番組内にて放送
コメンテーター 獨協医科大学神経内科教授 平田幸一先生
ゲストコメンテーター 岩手医科大学 内科学講座教授 寺山靖夫先生、宮城 広南病院 頭痛外来 松森保彦先生
全国でインターネット放送で視聴できます。(http://zutsu.jp/healthcare/lecture/

【5】頭痛研究のトピックスを更新しました。

三叉神経節における侵害受容性ニューロンとsatellite glial cellとの連係プレー
Ceruti S, et al. Calcitonin gene-related peptide-mediated enhancement of purinergic neuron/glia communication by the algogenic factor bradykinin in mouse trigeminal ganglia from wild-type and R192Q CaV2.1 knock-in mice: Implications for basic mechanisms of migraine pain. J Neurosci 2011;31:3638-3649.
掲載日:2011/06/21

薬物乱用頭痛患者の白血球が示す遺伝子発現パターン
Hershey AD, et al. Genomic expression patterns in medication-overuse headache. Cephalalgia 2011;31:161-171.
掲載日:2011/05/10

詳細はホームページをご参照ください。(http://www.jhsnet.net/zutu_topics.html

【6】慢性頭痛の診療ガイドライン改訂作業のお知らせとご意見の募集

このたび、頭痛研究の進展と、診療環境の変化に対応するために、診療ガイドラインの改訂を行うこととなり、ガイドライン委員会を組織しました。現在のガイドラインをふまえ、最新の知見を取り込んだ改訂を予定しています。新たなクリニカルクエスチョンの追加や修正、推奨レベルの再検討などの作業をガイドライン委員会にてすでに着手しています。引き続きガイドラインの改訂に際して、会員の皆様からのご要望、コメントを募集しております。
ご意見やご要望があれば、メール(info@jhsnet.net)又はFAX(048-840-2701)にて、学会事務局あてにお寄せください。

【7】頭痛関連研究会のご案内

第3回 Asian Regional Congress of Headache (ARCH) 開催の案内が参りましたので、会員各位にお知らせ致します。
演題募集要項などは学会HPをご参照ください。
開催概要

会期
2011年10月21日~24日
学会テーマ
“the Current Research and Development of Diagnosis and Treatment for Headache”
会場
北京
会長
Dr. Shengyuan Yu
演題募集締め切り
2011年8月30日
学会Home Page
http://www.arch2011.org/main/home/main.php

編集後記

今年は、東日本だけでなく全国的に節電することが必要になっています。しかし、エアコン設定温度が28度ぐらいの方が夏の外気温とのバランスを保つ上で、体が自然に順応できる温度なのかもしれません。
日本古来の扇子、打ち水、立て簾(たてす)などを使って、なんとか今年の夏を乗りきりたいと思います。

【日本頭痛学会 企画・広報委員会】

ニュースレターに関するご意見、お問い合わせは、<info@jhsnet.net>までお願い致します。