日本頭痛学会ニュースレター10号 2012年11月

  1. 第40回頭痛学会総会会長 喜多村孝幸先生よりご寄稿
  2. 頭痛協会設立に関しまして間中信也先生よりご寄稿
  3. Headache Master School 2013 in Asiaに関しまして(第2報)
  4. 頭痛学会ガイドラインのパブリックコメント募集について(予告)
  5. 片頭痛と緊張型頭痛に係る医薬品の適応外使用における保険診療上の取り扱い拡大のお知らせ
  6. 日本頭痛学会の定款改定に関して
  7. 最近の頭痛研究トピックス(広報委員会より、HPリンク)

【1】第40回頭痛学会総会会長 喜多村孝幸先生よりご寄稿

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第40回頭痛学会総会会長
喜多村孝幸 先生(日本医科大学脳神経外科)

2011年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心より御見舞い申し上げますとともに、一日も早い復興を御祈り申し上げます。この度、第40回日本頭痛学会総会を2012年11月16日(金)・17日(土)の二日間、東京都文京区の東京ドームホテルにおいて開催させて頂きます。
8年ぶりに脳神経外科医として本学会の会長を務めさせて頂きますことを、大変光栄なことと存じますとともに、2,000名を超える会員の皆様にとって有意義な学会となるよう鋭意準備を進めてまいりました。今回は「第40回」という節目の数字であることから、メインテーマを「頭痛医療の温故創新」とさせて頂きました。このテーマに込めた思いは、頭痛懇談会として発足した頃から永年議論されてきたことを十分踏まえて、本総会を頭痛医療の今後の展開に繋げるきっかけとしたいという気持ちであります。本総会では、165題という多数の演題をご応募いただきました。これに加えて、会長講演、特別講演(2題)、招待講演(2題)、シンポジウム(3テーマ)、特別企画(3テーマ)、生涯教育セミナー(2題)、ランチョンセミナー(6セッション)、イブニングセミナー(3セッション)という盛り沢山の企画で計227題の発表が予定されています。特別講演は永年日本の頭痛医療を牽引してこられた御二方に御願い致しました。坂井文彦先生には「日本頭痛学会、世界への挑戦」、間中信也先生には「日本頭痛学会の来し方、行く末」という大きなテーマで御話頂きます。また招待講演は英国からAnne MacGregor先生、ドイツからHartmut Gobel先生をお招きしています。また学会前日の11月15日(木)には、東京ドームホテルにおいて「The 40th 記念セミナー」として、5つのテーマのセミナーが開催されます(各セミナーで日本頭痛学会認定頭痛専門医更新研修単位(3単位)が取得できます)。学会翌日の11月18日(日)には市民公開講座を東京駅に直結している丸ビルホールにおいて開催いたします。多数の会員の皆様のご参加を心よりお待ちしております。そして学会では活発な御討議とともに会員相互の親睦を深めていただき、参加された皆様にとって実りある学会となるよう期待しております。

会 期
2012年11月16日(金)・17日(土)
会 場
東京ドームホテル 〒112-8562 東京都文京区後楽1-3-61  TEL: 03-5805-2111
学会テーマ
「頭痛治療の温故創新」

学会に関する最新の情報は総会ホームページ(http://jhs40.umin.ne.jp/)にてご案内中です。

【2】頭痛協会設立に関しまして間中信也先生よりご寄稿

「一般社団法人日本頭痛協会(以後「頭痛協会」)」が2012年4月20日付けをもって発足いたしました。代表理事は間中信也が務めさせていただいております。事務局の所在地は一般社団法人日本頭痛学会と同じです(さいたま市 埼玉精神神経センター内)。早速、ホームページ(http://www.zutsuu-kyoukai.jp)を立ち上げ、頭痛協会のロゴも作りました。頭痛協会は英語でJapan Headache Association(JHA)といいます。頭痛協会のロゴは観覧車をモデルにして「JHA」を図案化して配置し、それに日本をダブらせました。そのロゴと、頭痛協会設立趣旨、日本頭痛学会理事長、友の会会長秋山さん(頭痛協会顧問)のメッセージは上記ホームページをご参照ください。
頭痛には、患者さん、その家族、会社や学校の関係者、医師、看護師、薬剤師、学校医、養護教員、製薬メーカー・・・数えきれないほどのさまざまな方々が係わっております。ロゴの観覧車はそれをシンボライズしたつもりです。頭痛に悩む患者さんを中心に、連携の輪がうまく回ることを祈念して作られたのがこの日本頭痛協会です。本協会は、頭痛専門職の団体である日本頭痛学会医師と頭痛患者の団体である全国慢性頭痛友の会のmediatorとして、また頭痛の社会啓発を推進するdynamoとして機能することを念願としております。
具体的な活動ですが、まず片頭痛患者が保険加入を断られるという事例の解決を目的に診療向上委員会と共同して行動を起こしました。関係団体から「片頭痛を理由に保険加入を断ることはない」という言質を得ました。ホームページのコンテンツとして頭痛のミニ講座を連載しております。執筆は日本頭痛学会のエキスパートがリレー式に担当しております。簡潔ですがきわめて含蓄のある内容と自負しております。養護教員・学校関係向けの啓発活動にも力をいれる所存で、講演会やパンフレット作製の準備をしております。
適正な頭痛診療を実施する王道は、やはり患者・市民の頭痛啓発であると考えます。そこで診療所単位、地域単位の草の根トーク集会を企画しております。講師は頭痛学会員にお願いすることになると思われます。資材は協会で準備可能です。これらの事業は会員の皆様のご支援なくしては成し遂げられません。なにとぞご協力のほどをよろしくお願いいたします。そして協会の発展を温かく見守っていただければ幸いです。

【3】 Headache Master School 2013 in Asiaに関しまして(第2報)

国際頭痛学会と日本頭痛学会の共催事業であるHeadache Master School 2013 in Asia を2013年3月23日(土)~24日(日)に東京ステーションコンファレンスにて開催することになりました。
Headache Master Schoolは頭痛医学・医療のグローバルな普及、発展を目的とした国際頭痛学会の教育総会です。
今回のHeadache Master Schoolでは、受講者は日本の若手研究者(一部、アジア諸国より参加)約150人とし、教授陣は世界のトップ15の頭痛研究者に依頼します。レクチャー、重点的グループ学習(Case based)を丸2日間行い、その後、6ヶ月間のインターネット・ラーニングを行ったあと、試験をし、認定証が授与されます。
日本の頭痛医学・医療が発展し、ジャンプするため極めて重要な会と考えております。
広報委員会ニュースレターでも情報を積極的に配信してまいります。

【4】頭痛学会ガイドラインのパブリックコメント募集について(予告)

以前よりご案内しておりますように、頭痛学会ガイドライン改定作業が進行中です。新しいガイドラインは、頭痛学会会員の皆様のご協力をもちまして、原稿がほぼ完成し評価委員の評価とパブリックコメントを求める段階になっております。そこで第40回頭痛学会総会では、「新しい慢性頭痛の診療ガイドライン」に関するシンポジウムの開催が予定されております。
今回のシンポジウムは新しく作成したクリニカルクエスチョンと、改訂した部分を中心に紹介し討論するような形式を考えております。そのシンポジウムと平行して頭痛学会員によるパブリックコメント募集ならびにガイドラインの評価委員による評価を受ける予定です。
頭痛学会総会におけます「新しい慢性頭痛の診療ガイドライン」は第1日目11月16日 9:00-10:30の予定です。頭痛会員のみなさまの積極的な参加をお待ちしております。

【5】片頭痛と緊張型頭痛に係る医薬品の適応外使用における保険診療上の取り扱い拡大のお知らせ

医薬品の適応外使用に係わる保険診療上の取り扱いについて、厚生労働省保険局医療課長より24年9月24日付けで、通達が出されました。http://www.hospital.or.jp/pdf/14_20120924_01.pdf
いわゆる「55年通知」に基づいて薬理作用に基づく適応外使用を認める内容で、今回、アミトリプチリン塩酸塩(商品名:トリプタノールなど、後発品を含む)が「片頭痛」と「緊張型頭痛」の治療に、チザニジン(商品名:テルネリンンなど、後発品を含む)が「緊張型頭痛」の治療に適応外使用が可能となりました。なお、適応外使用の参考資料として、慢性頭痛診療ガイドライン(2002)が挙げられていることを申し添えます。
同様にプロプラノロール塩酸塩の片頭痛への保険適用を要望してきましたが、本件が2012年8月31日開催の「薬事・食品衛生審議会・医薬品第一部会」において公知申請を行なっても差支えがないとの結論が得られ、保険適用が可能となりました。以上詳細は頭痛学会ホームページをご参照ください。

【6】日本頭痛学会の定款改定に関して

日本頭痛学会の定款の改定につきましては、本学会のより一層の発展のため、検討を重ねてまいりました。昨年の総会において、定款の基本的な案について承認頂きましたが、その後も検討を加え、あり方委員会、理事会の議論を得ました、定款(案)、代議員選出細則(案)や役員選出細則(案)、代表理事候補者および代表理事選任内規(案)を、ホームページに掲載して本学会全会員のパブリックコメントを頂くこととなりました。頂きましたご意見を踏まえまして最終案を作成し、第40回日本頭痛学会総会の審議事項にてお諮りしたく考えております。ご多忙のところ大変恐縮ですが、添付の定款(案)、代議員選出細則(案)、役員選出細則(案)、代表理事候補者および代表理事選任内規(案)にお目通しいただき、平成24年10月5日までに事務局
masumi.kanda@gmail.com)へご意見をお寄せくださるようお願い申し上げます。

【7】最近の頭痛研究トピックス(広報委員会より、HPリンク)

PRRT2遺伝子変異は片麻痺性片頭痛の原因となる
Riant F, et al. PRRT2 mutations cause hemiplegic migraine. Neurology 2012;79:1-3.
片頭痛患者の脳構造と疼痛プロセシングに関する男女差
Maleki N, et al. Her versus his migraine: multiple sex differences in brain function and structure. Brain
2012;135:2546-2559.
掲載日:2012/09/04

前兆のない片頭痛患者を対象にしたゲノムワイド関連研究データ
Freilinger T, et al. Genome-wide association analysis identifies susceptibility loci for migraine without aura.
Nature Genet
2012; doi:10.1038/ng.2307
掲載日:2012/07/04

慢性片頭痛に対する後頭神経刺激療法のランダム化臨床研究
Serra G, et al. Occipital nerve stimulation for chronic migraine: A randomized trial. Pain Physician 2012;15:245-253.
掲載日:2012/06/19

編集後記

【日本頭痛学会 企画・広報委員会】

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