日本頭痛学会 ニュースレター30号

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  1. 日本頭痛学会 理事 橋本洋一郎先生よりご寄稿
  2. Headache Master School Japan 2018(HMSJ2018)- Sapporo 開催のご案内
  3. 2017年度専門医試験講評ならびに受験資格要件改訂について
  4. 最近の頭痛研究トピックス(広報委員会から最新の論文をご紹介)

【1】日本頭痛学会 理事(熊本市民病院神経内科) 橋本洋一郎先生より寄稿
   2018年 新年のご挨拶

一般社団法人日本頭痛学会代表理事 鈴木則宏
『片頭痛は摩訶不思議な全身の病気』

  1. デンマークのコホート研究  デンマーク全国患者登録に1995年?2013年に記録された片頭痛患者51,032例と年齢、性別、暦歴をマッチさせた一般集団510,320例を解析対象とした一般集団ベースのコホート研究が行われた(BMJ. 2018;360:k96)。  片頭痛例は一般集団に比して、心筋梗塞、虚血性脳卒中、出血性脳卒中、静脈血栓塞栓症、心房細動/心房粗動が有意な増加を示したが、末梢動脈疾患と心不全の増加はなかった。
  2. 片頭痛と脳梗塞  若年性脳梗塞では片頭痛を持っている症例が多く、以前は卵円孔開存に伴う奇異性脳塞栓症が一番と多いと考えていたが、現在は可逆性脳血管攣縮症候群(reversible cerebral vasoconstriction syndrome:RCVS)が多いのではないかと考えている。  片頭痛患者は脳梗塞発症リスクをむやみに恐れず、禁煙し、ピルを使用しないこと、高血圧などのリスク管理、片頭痛の適切な治療を行うことで、脳梗塞発症を予防できる可能性が高いと考えている。
  3. 頭痛診療の仲間を増やしましょう  小学生に入って車酔いが始まり、中高生になって片頭痛を発症し、めまいを伴ったり、その後、心血管病を一部の症例が発症するし、頭痛発作には悪心・嘔吐といった消化器症状を呈する摩訶不思議な病気である。「摩訶」とは"非常に"という意味でも使われるが本来は"人知を越えたすばらしさ"を意味するという。片頭痛は、ただ単に頭が痛くて寝込む疾患ではなくて、表 (著者が独断で作成)に示す共存症や併発症、症状を来すことがあり、多くのことを教えてくれる摩訶不思議な全身の病気である。
  4. 御礼  2017年10月8日九州で始めてHeadache Master School Japan(HMSJ) を熊本で開催させて頂いた(HMSJ 2017 in KUMAMOTO)。198名の参加があり、半数は九州からで、半数は北海道や関東の遠方から参加頂き、参加頂いた会員の皆さんに感謝するとともに、HMSJの存在意義を実感した。

【2】Headache Master School Japan 2018(HMSJ2018)- Sapporo 開催のご案内

本年も以下の要領で「Headache Master School Japan 2018(HMSJ2018)- Sapporo」を開催致しますのでご案内申し上げます。
今回は北海道で初めての開催となります。受講希望される方はお早目にご応募下さいますようお願い申し上げます。
詳細は、ホームページをご参照ください。
http://hmsj-sapporo.jp

日時
平成30年7月8日(日)10時00分~16時00分(予定)
会場
ACU-A(アスティ45)16F(札幌市中央区北4条西5丁目1)
http://www.acu-h.jp/ 募集数:約200名
募集期間
平成30年4月9日~5月31日まで(定員に達し次第締め切ります)
受講費
¥20,000(予定)
実行委員長
北見 公一(脳神経外科・心療内科 北見クリニック)

【3】2017年度専門医試験講評ならびに受験資格要件改訂について

2017年の日本頭痛学会専門医試験を8月5日に、都市センターホテルで実施時の講評が掲載されております。
また、受験資格の学術業績について、これまで学会発表ならびに論文発表の双方を必須としていたが、2018年から学会発表または論文発表のいずれかで受験ができるようになります。
問題集も刊行されているので、多くの会員が専門医を目指して研鑽されることを期待しております。
詳細は、http://www.jhsnet.net/information/20180214_info.htmlをご参照ください。

【4】最近の頭痛研究トピックス(広報委員会から最新の論文をご紹介)

1)デンマークで行われた片頭痛の心血管病リスクに関する人口ベースでのコホート研究
Adelborg K, et al. Migraine and risk of cardiovascular diseases: Danish population based matched cohort study. BMJ 2018;360:k96.
掲載日:2018/03/23

2) 皮質拡延性抑制による軟膜および硬膜マクロファージと樹状細胞の活性化
Schain AJ, et al. Activation of pial and dural macrophages and dendritic cells by CSD. Ann Neurol 2018 Feb 2. doi: 10.1002/ana.25169. [Epub ahead of print]
掲載日:2018/03/01

3) 小児救急における頭痛:5年間の後向き調査
Rossi R, et al. Headache in the pediatric emergency department: A 5-year retrospective study. Cephalalgia(2017) DOI: 10.1177/0333102417748907
掲載日:2018/02/07

4) 反復性および慢性群発頭痛急性期治療としての非侵襲的迷走神経刺激術
Goadsby PJ, et al. Non-invasive vagus nerve stimulation for the acute treatment of episodic and chronic cluster headache: a randomized, double-blind, sham-controlled ACT2 study. Cephalalgia(2017) DOI: 10.1177/0333102417744362
掲載日:2018/01/30

詳細は、以下のアドレスを御覧下さい。
http://www.jhsnet.net/zutu_topics.html

【日本頭痛学会 企画・広報委員会】

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