㈵−14 |
市販薬による薬物療法をどのように計画するか |
推奨 |
薬物療法の選択は頭痛の重症度,頭痛の頻度,生活支障度に依存する.軽症の頭痛であれば市販薬 (OTC : Over-The-Counter) でも対処可能である.頭痛が中等度〜重度の場合,あるいは OTC を月 10 日以上服用する場合は,医師の指導のもとに薬物治療を行うことが望ましい.慢性頭痛の場合は薬物乱用頭痛に陥らないように急性期治療薬の投与回数の制限 ( 可能であれば月 10 回以内 ) を設ける |
推奨のグレード |
A |
背景・目的 |
一次性頭痛の主要なものは片頭痛,緊張型頭痛,群発頭痛である.本邦では約 3000 万人の慢性頭痛患者が存在するとされる 1 ) 2 ) . 840 万人いると推定される片頭痛の約 74% の人が生活に支障を感じており,薬物療法の果たす役割が大きい.一方では片頭痛に対する認識は低く,定期的に医療機関を受診している人は全体の 2.7% にすぎない 1 ) 2 ) .薬物治療にあたってはまず生命の危険がある二次性頭痛を除外する 3 ) .そのうえで OTC も慢性頭痛に対する薬物療法の選択肢のひとつとなりうる.
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解説・エビデンス |
頭痛は重症度と生活支障度により, ㈰軽症 : 生活に対する支障がない, ㈪中等症 : 日常生活や仕事に影響がある, ㈫重症 : 日常生活や仕事が不可能・寝込む,の三段階に区分される.一次性頭痛のうち,常に軽症で,頭痛による苦痛がほとんどなく,生活支障がない場合は,経過観察,生活習慣の改善,ストレッチなどのセルフケアで対処可能である.頭痛により苦痛を感じても,軽症の場合は OTC により対応が可能である.日本神経学会の慢性頭痛治療ガイドライン 4) では片頭痛の軽症例には非ステロイド系消炎鎮痛薬 (NSAIDs ; non-steroidal anti-inflammatory drugs) が勧められている(推奨のグレード B ).具体的にはアスピリンについては,本邦では 330-660mg が勧められている.
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参考文献のリスト |
1) 坂井文彦 , 【頭痛・疼痛】 頭痛の疫学と医療経済学 . 神経研究の進歩 , 2002. |
検索式・参考にした |
検索 DB : PubMed (2004/11/23) |