㈵−23 |
片頭痛による経済的損失はどのように評価するか |
推奨 |
経口トリプタン系薬剤は経口エルゴタミン系薬剤に比べて,医療財政に対しては許容範囲内の増分費用で高い患者の QOL が改善される.また,社会全体に対しては経口トリプタン薬により便益が還元される
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推奨のグレード |
B |
背景・目的 |
1990 年代に欧米においてトリプタン系薬剤 ( 以後,トリプタン ) が,群発頭痛や片頭痛の治療に導入された.しかし,高価な薬剤あったため欧米各国においてトリプタンが医療費支出に見合うだけの臨床効果を持っているかどうか,いわゆる費用対効果の評価が頻繁に行われた.その結果,カナダの CCOHTA(Canadian Coordinating Office for Health Technology Assessment) という政府系機関によるトリプタンの経済評価に代表されるように,「トリプタンは経口エルゴタミン系薬剤に比べて,医療財政に対しては許容範囲内の増分費用で高い患者の QOL が改善される.また,社会全体に対しては経口トリプタンにより便益が還元される.」とされている.すなわちトリプタンは費用対効果に優れているという結論が得られた.本邦においてもスマトリプタン錠における費用対効果の検討論文が公表されている.
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解説・エビデンス |
カナダの政府系機関が行った評価では,社会的立場から,カフェイン / エルゴタミンの代わりにスマトリプタンを使用することで,発作を1回抑える毎に ? 25 カナダドル ( $Can ) の増分費用対効果比が必要であり,1 QALY (quality-adjusted life-year) を得るために -7507$Can が必要であり,年間 1 人当たり 42$Can が社会に還元される結果となった 1) .保険支払い者立場からは,発作1回抑える毎に 98$Can の増分費用対効果比が必要であり,1 QALY を得るために 29,366$Can が必要であるという結果となった.健康保険プランに採用するための医療技術に関する意思決定のため推奨度としては,中程度であった.感度分析の結果,組み込んだ変数が相対的に大きく変化しても,分析結果の頑健性が保たれていた.
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参考文献のリスト |
1) Evans KW, Boan AJ, Evans JL and Shuaib A. Economic evaluation of oral
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検索式・参考にした |
・検索 DB : PubMed (04/12/4)
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