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本邦における片頭痛の有病率はどの程度か

 

推奨
本邦の年間片頭痛有病率は、 8.4% で,前兆のない片頭痛 5.8% ,前兆のある片頭痛 2.6% である.片頭痛の有病率は 20 歳〜40歳代の女性に多い
推奨のグレード
該当なし  
 

 

背景・目的

本邦では片頭痛はそれほど多くないと考えられていた時代もあったが,国際頭痛学会の診断基準の普及に伴い,片頭痛が正確になされるようになり本邦でも疫学調査が実施されている.


解説・エビデンス

Sakai & Igarashi 1)  の日本全国調査では片頭痛の年間有病率は 8.4 %(前兆のある片頭痛 2.6% ,前兆のない片頭痛 5.8% ,)と報告されている.
鳥取県大山町の調査 2) では , 住民の 6.0 %が片頭痛(前兆のある片頭痛 0.9 %,前兆のない片頭痛 5.2 %)に罹患していた.世界各国における有病率は様々で,中国 3.0% ,マレーシア 9.0%  台湾 9.1 % , フランス 12.1 %,米国 13.0 % 3 ) ,スウェーデン 13.2 %,ドイツ 27.5 %,タイ 29.1 %などの報告がある.調査方法や診断精度,さらには生活様式や地域性による違いもあるものと考えられるが,本邦を含むアジアでは 5 〜 10 %,欧米では 10 〜 15 %と考えられるいる.これはいずれの数字を取ってもきわめて高い有病率であって,対策が必要な疾患であることを示しているといえる.年代別片頭痛有病率をみると,若年〜中年の女性に多く 30 才代, 40 才代女性の片頭痛の有病率は各々 17.6 %, 18.4 %も及んでいる 2)
本邦の片頭痛患者は,頭痛のために日常生活に支障があるにもかかわらず,医療機関に受診するものが少ないことが示されている 1) 2)

参考文献のリスト

1) Sakai F, Igarashi H. Prevalence of migraine in Japan : a nationwide survey.
  Cephalalgia 1997; 17(1):15-22.
2) Takeshima T, Ishizaki K, Fukuhara Y, Ijiri T, Kusumi M, Wakutani Y et al.
  Population-based door-to-door survey of migraine in Japan : the Daisen study.
  Headache 2004; 44(1):8-19.
3) Lipton RB, Scher AI, Kolodner K, Liberman J, Steiner TJ, Stewart WF. Migraine
  in the United States : Epidemiology and patterns of health care use. Neurology
  2002; 58(6):885-894.

 

検索式・参考にした二次資料

検索式:  II  片頭痛 -  分類,診断基準,疫学で共通 
migraine 16131
& classification 990
& daignosis 6324
& {diagnosis} AND {criteria} 705
& {epidemiology} OR {prevalence} 1596
& {English} OR {Japanese} 1360
以上;  2801 件
主として文献タイトル,一部オンラインで閲覧できる抄録を見て分類・診断・疫学に関連する文献 298 件を選別,
最近の原著や総説の引用文献などからも関連する文献で上記から漏れているものを 19 文献追加
合計  317 件 を収集
疫学に関しては 3 件を選定