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緊張型頭痛の病態はどのように理解されているのか |
推奨 |
緊張型頭痛の病態や発症機序は未だ不明である.しかし,稀発反復性緊張型頭痛,頻発反復性緊張型頭痛については末梢性疼痛メカニズムが役割を果たしているのに対し,慢性緊張型頭痛においては中枢性疼痛メカニズムがより重要な役割を果たしている可能性が高いことが近年明らかにされてきている |
推奨のグレード |
B |
背景・目的 |
緊張型頭痛は一次性頭痛の中で最も多い頭痛の一つである.しかし,その正確な発症機序は未だ不明であり,その病態生理についても一次性頭痛の中で最も研究が進んでいない疾患の一つである.
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解説・エビデンス |
1.末梢性要素:頭蓋周囲筋の圧痛が緊張型頭痛で正常者より頻度が高いことが証明されており,しかも,圧痛の度合いが緊張型頭痛の頻度や強度と相関することも知られている 1) .しかし,診断基準の項でも述べたように圧痛の度合いの評価は検者間により相違があり,客観的な評価はなかなか困難である.緊張型頭痛における圧痛評価は, TTS ,筋硬度計により客観的になされることが証明されている 2) 3) 4) .筋電図により緊張型頭痛の筋緊張評価がなされることも知られている 2) . 2.中枢性要素:フリーラジカルである一酸化窒素の産生に必要な nitric oxide synthase ( NOS )を抑制する L-N(G)- 塩酸メチルアルギニン投与により筋の圧痛が軽減し,臨床的に頭痛が緩和されることが証明されている 5 ) .これは三叉神経の感作が中枢性要素であるという仮説を裏付けるものと考えられる 6) . さらに,正常者では三叉神経を求心路として刺激した際,脳幹脊髄三叉神経運動核に連絡する橋被蓋外側中間ニューロンによる筋収縮の抑制機構が存在することが知られているが,緊張型頭痛の一部においては,この中枢の筋収縮抑制機構が欠如していることが報告されている 7) 8) .
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参考文献のリスト |
1) Jensen R, Rasmussen BK, Pedersen B, et al: Muscle tenderness and pressure
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検索式・参考にした |
PubMed 検索: 2004/11/25 tension type headache 1155 & pathophysiology 387 |