㈸−6
持続性片側頭痛はどのように診断し治療するか

 

推奨

1.  診断
持続性片側頭痛 は国際頭痛分類第2版( ICHD- ㈼)に準拠して診断する .
2.  治療
インドメタシンにより完全寛解する

推奨のグレード

 A 

 

 

背景・目的

持続性片側頭痛はまれな疾患 1) 2) で ,1984 年 Sjaastsd らによって報告されて以来現在まで 150 例以上に及び 3-10) , 本邦においても 2002 年に石ら 11) によってはじめて発表され , 類似の病態も報告されている 12) 13) . しかし , これまで病態 , 臨床像 , 治療 , 予後などについては十分に明らかにされていない .
 

解説・エビデンス

1.  診断
ICHD- II による診断基準 1) 2)
A . B 〜 D を満たす頭痛が 3 ヶ月越えて続く
B .次の特徴をすべて満たす
 1 .痛みは片側性で、反対側に移動しない
 2 .毎日連続してみられ、痛みが消失する時期がない
 3 .程度は中等度であるが、増悪して重度の痛みとなることがある
C .頭痛増悪時、頭痛側に次の自律神経所見のうち少なくとも1項目がみられる
 1 .結膜充血または流涙(あるいはその両方)
 2 .鼻閉または鼻漏(あるいはその両方)
 3 .眼瞼下垂または縮瞳(あるいはその両方)
D .治療量のインドメタシンで完全寛解する
E .その他の疾患によらない
 
これまでの報告は症例報告が中心であるが , これらの報告をまとめると以下のような特徴があげられる 3-11) . 男女比は 1 : 2.4 と女性に多く , 平均の発症年齢は 20 〜 40 歳である . 頭痛は片側性であり反対側に移動しない持続性の痛みである . 痛みの部位は前頭部 , 側頭部 , 眼窩部 , 後頭部に多い . 典型的には通常みられる頭痛は軽度〜中等度であるが , 頭痛の増悪がみられることもあり , この時は日常生活の支障が著しく強度の頭痛となる . 自律神経症状がみられることもあり流涙や結膜充血が多くみられる . 片頭痛にみられる随伴症状を伴うこともある . 痛みは持続性であることが特徴であり , 寛解してもその後に持続性に移行することが多い . インドメタシンにより完全に寛解するのが特徴である . 最近 ,PET にて後部視床下部と背側尾側橋の活性化がみられたとする報告はあるが病態は現在のところ明らかにされていない 8) . 画像診断によって二次性頭痛を鑑別することが重要である . 鑑別診断として , 片側性の慢性片頭痛 , 新規発症持続性連日性頭痛 , 頚原性頭痛 , 三叉神経・自律神経性頭痛などがあげられる .


2.治療
治療としてはインドメタシンを 25mg より開始し , 効果がない時は一週後に 50mg に増量する . 有効量は 50 〜 300mg / 日で長期にわたる内服治療が必要であるが長期の予後は明らかでない .  


参考文献のリスト

1) Headache Classification Subcommittee of the International Headache Society
  .
The International Classification of Headache Disorders: 2 nd edition.
  Cephalalgia 2004: 24 Suppl 1:1-160.
2) 国際頭痛学会・頭痛分類委員会 , 国際頭痛分類第2版( ICHD-㈼ ) .
  日本頭痛学会雑誌 .2004: 31: 1-1881.
3) Newman, L. C., Lipton, R. B. Solomon, S. Hemicrania continua: ten new cases
  and a review of the literature. Neurology 1994: 44: 2111-4.
4) Peres, M. F., Silberstein, S. D. Nahmias, S., Shechter, A. L., Youssef, I. Rozen,
  T. D. Young, W. B.
Hemicrania continua is not that rare. Neurology 2001: 57:
  948-51.
5) Matharu, M. S. Boes, C. J. Goadsby, P. J. Management of trigeminal autonomic
  cephalgias and hemicrania continua. Drugs 2003: 63: 1637-77.
6) Trucco, M., Mainardi, F., Maggioni, F., Badino, R., Zanchin, G. Chronic
  paroxysmal hemicrania, hemicrania continua and SUNCT syndrome in
  association with other pathologies: a review. Cephalalgia 2004: 24: 173-84.
7) Antonaci, F. Pareja, J. A. Caminero, A. B. Sjaastad, O. Chronic paroxysmal
  hemicrania and hemicrania continua. Parenteral indomethacin: the 'indotest'.
  Headache 1998: 38: 122-8.
8) Matharu, M. S., Cohen, A. S., McGonigle, D. J., Ward, N., Frackowiak, R. S,.
  Goadsby, P. J.
Posterior hypothalamic and brainstem activation in hemicrania
  continua. Headache 2004: 44: 747-61.
9) Goadsby, P. J. Lipton, R. B. A review of paroxysmal hemicranias, SUNCT
  syndrome and other short-lasting headaches with autonomic feature, including
  new cases. Brain 1997: 120: 193-209
10) Pareja, J. A., Vincent, M., Antonaci, F., Sjaastad, O. Hemicrania continua:
  diagnostic criteria and nosologic status. Cephalalgia 2001: 21: 874-7.
11) 石公郁子 , 竹島多賀夫 , 井尻珠美 , 福原葉子 , 中島健二 . Hemicrania
  continua の1例 本邦第1例 .臨床神経 .2002:42:754-6.
12) 持続性の片側頭痛を呈する6症例の検討 . 寺本純 . 日本頭痛学会誌 .
  2002 : 29 : 63-5. 13) 歯痛としてあらわれた Hemicrania continua の1症例 .
  大久保昌和 , Somak Mitriattanalul,Robert L Merrill, 松本敏彦 .
  日本頭痛学会誌 .2004 : 31 : 150-2.
 

検索式・参考にした
二次資料

Hemicrania continua 121
検索 DB : Pub Med ( 04/12/01, Reference Manager より)
Hemicrania continua 3
検索 DB : Pub Med 医中誌( 04/12/01 )