Ⅵ-3
緊張型頭痛は遺伝するか

 

推奨
緊張型頭痛の発症に遺伝因子が存在する可能性はあるが,むしろ環境因子が強く関与しているものと考えられる
推奨のグレード
C

 

背景・目的

片頭痛,群発頭痛に比して,緊張型頭痛における遺伝因子に関する研究は少ない.発症には主に環境因子が関与すると考えられている.


解説・エビデンス

分離解析によれば,慢性緊張型頭痛は多因子遺伝性疾患であることが報告されている. 122 名の発端者からの家族調査では第一度近親は一般集団の 3 倍の発症リスクがあり,しかも配偶者の発症リスクは高くなく,遺伝因子の存在が示唆された.しかし,デンマークの New Danish Twin Register を用いた双子研究では,反復発作性緊張型頭痛では一卵性と二卵性での一致率に有意な差はなく,遺伝因子はあったとしても確実に影響するものは存在しないと推察された.一方,慢性緊張型頭痛では遺伝因子が存在する可能性は完全には否定されていない.

 

参考文献のリスト

1)Russell MB, Iselius L, Ostergaard S, Olesen J. Inheritance of chronic tension-
  type headache investigated by complex segregation analysis. Hum Genet. 1998
  ;102(2):138-140.
2) Ostergaard S, Russell MB, Bendtsen L, Olesen J. Comparison of first degree
  relatives and spouses of people with chronic tension headache. BMJ. 1997
  ;314(7087):1092-1093.
3) Ulrich V, Gervil M, Olesen J. The relative influence of environment and genes in
  episodic tension-type headache. Neurology. 2004 ;62(11):2065-2069.

検索式・参考にした
二次資料

検索式: 最終検索日  05/03/01
tension-type headache
& genetic factors : 6
& genetic influence : 3
& familial occurrence : 3
& inheritance : 4
& twin : 4 hits
& segregation : 2
& adoption : 1
& linkage : 1
& polymorphism : 7
検索 DB: PubMed