日本頭痛協会発足についてのお知らせ


平成24年5月1日

日本頭痛学会会員各位

 

日本頭痛協会発足についてのお知らせ

 かねてご案内の「一般社団法人日本頭痛協会(以後「頭痛協会」と称する)」の設立登記を2012年4月20日付けで申請したことをもって法人格が取得されました。
あらためて日本頭痛学会会員に頭痛協会のお知らせをさせていただきます。

■頭痛協会設立の背景
  本邦の頭痛患者は4000万人と推定され、国民の健康を脅かす重要な疾患の一つとされています。なかでも片頭痛の有病率は840万人にのぼり、世界保健機構(WHO)によれば、健康寿命を短縮する疾患の19位(女性では12位)に位置付けられております。全国疫学調査によれば片頭痛患者の74%は日常生活に何らかの支障をきたしていますが、受診をしても、疾患の説明・治療の内容が不満足と感じている患者が多く、残念ながら本邦の頭痛診療のレベルはまだ十分に国民のニーズを満たしておりません。また頭痛専門医は736名(2011年現在)と郡市区医師会数890に満たず、専門医ゼロの医師会も少なくなく、患者の受け入れ態勢や相談窓口は整備されているとは言い難い状況にあります。

■頭痛協会設立の動機
  日本には医師を対象とする社団日本頭痛学会と患者を母体とする全国慢性頭痛友の会がありますが、頭痛の社会啓発を目的とする組織がありませんでした。頭痛患者さんの未受診者は多く、学校では学業の妨げとなる頭痛は「気のせい」と軽くみられ、実業界でも作業能率の低下・休業により経済的損失を生じております。市民の間でも鎮痛薬の過剰使用による薬物乱用頭痛が後を絶ちません。このような不幸な事態を打開すべく日本頭痛協会を設置するに至りました。

■頭痛協会の目的
  本協会は、頭痛に関する知識の普及啓発、頭痛患者およびその家族の療育指導、頭痛に関する調査研究等を行うことによって、頭痛患者の福祉の増進、および頭痛関係者のコミュニケーションを促進することを目的としております。頭痛関係者とは、患者家族、医師、看護師、薬剤師、学校医、養護教員、産業医など、あまねく頭痛に関与するものを包括します。

■頭痛協会の事業
  本協会は、前条の目的を達成するために、次の事業を遂行したします。
(1)頭痛に関する正しい知識の普及啓発を目的とした講演会・勉強会、市民講座等の啓発活動
(2)頭痛患者および関係者に対する療育指導および支援
(3)頭痛ニュース・会報の発行
(4)啓発ウエブサイトの運営
(5)頭痛に関する調査・研究
(6)その他目的達成のために必要な事業(頭痛相談、頭痛施設の紹介等)

■おわりに
  「たかが頭痛」と軽視されがちな「頭痛持ち」のQOL向上のための診療態勢の整備し、「頭痛に悩まない、苦しまない」時代を創成するために、頭痛協会に対するご理解とご支援のほどをお願いする次第です。


社団法人日本頭痛協会 代表理事 間中信也