第11回専門医試験講評(2018年)


平成30年12月18日



第11回専門医試験講評(2018年)




第11回日本頭痛学会専門医試験を2018年8月4日に、都市センターホテルで実施した。受験者43名(1名欠席)、合格者36名、合格率83.7%であった。 第10回より受験資格である日本頭痛学会教育施設での研修歴の規定が厳格化されたことにより、昨年は受験資格を満たす会員が少なく受験者が減少したが、研修歴代替措置の実施等により受験者が増加したものと思われる。

問題は例年どおり、200問が出題された。受験者の最高得点161点(正解率80.5%)、最低100点(50.0%)、平均正解率 66.9%であった。 専門医委員会では、各問題の正答率、判別指数などを参考に妥当性を確認している。今回も昨年同様難易度が高い問題が第9回までよりはやや多かったが平均点は例年どおりであった。 出題は、頭痛に関連する解剖、生理、生化学、薬理など基礎的な知識に関する出題、一次性頭痛の臨床的知識や経験を問うもの、二次性頭痛の診断や対処法に関するものなどが出題された。 正答率が低かった問題として、片頭痛の典型的前兆の定義、片頭痛の共存症、緊張型頭痛の神経生理学的病態、SUNCT/SUNAの特徴、インドメタシン反応性頭痛(hemicrania continua等)におけるインドメタシン以外の治療選択肢、難治性疼痛に対するリドカイン治療、小児の頭痛治療、デバイスによる神経調節治療、下行性疼痛抑制系など疼痛関連の神経解剖などがあった。 いずれも頭痛診療を実践するうえで重要な知識であり、今後の準備としてもご参考いただきたい。

各受験者には前回から3症例の経験症例要約(サマリー)を提出していただいている。 症例要約はそれぞれ2名の委員が査読している。 全体として症例要約の記載が充実し、高評価の受験者が増えているが、不十分な症例要約もあるのでさらなる充実、指導医によるさらなる指導を進めていただきたい。 今回も、一次審査の評価が低いものがあったが、総合判定で可とし、症例要約のみでの不合格者はなかった。

頭痛学会教育施設での研修歴については、教育施設が少ない地域もあることから、Headache Master School Japan(HMSJ)の受講と総会時の教育セミナー受講により代替する暫定措置を実施している。 HMSJは専門医の少ない地域や、全国からのアクセスの利便性などを考慮して開催地が決定されている。2019年は仙台と四国で開催される予定である。 詳細はホームページで確認いただきたい。

問題集も刊行しており、頭痛学会誌に問題の解説も連載しているので、受験予定者ばかりでなく多くの会員、専門医にも参考いただきたい。 多くの会員が専門医を目指して研鑽され、すべての頭痛患者が全国どこでも最適な頭痛医療にアクセスできる日が来ることを期待している。

日本頭痛学会
専門医委員会 委員長 竹島多賀夫
副委員長 清水利彦
専門医試験小委員会 委員長 古和久典
副委員長 柴田 護