日本頭痛学会ニュースレター13号 2013年8月

  1. 日本頭痛学会理事長 坂井文彦先生よりご寄稿
  2. 第41回 頭痛学会総会のご案内
  3. 平成25年度日本頭痛学会代議員選挙について(公示)
  4. 国際頭痛分類第3版(ICHD-III)beta版の発表について
  5. 最近の頭痛研究トピックス(広報委員会より、HPリンク)

【1】日本頭痛学会の活動、中間報告(日本頭痛学会理事長 坂井文彦先生よりご寄稿)

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平成23年4月
日本頭痛学会 代表理事 坂井 文彦

日本頭痛学会では、今年もエポックメーキングな企画や事業が数多く計画されています。マスタースクール、診療ガイドライン、専門医制度推進、代議員選挙、第41回日本頭痛学会総会などに加え、重要な課題が少なくありません。多くの会員の皆様が、積極的、献身的に学会活動に参加くださっています。

(1)マスタースクール:次世代の頭痛医学のために

Headache Master Schoolは国際頭痛学会の教育事業です。本年3月に東京で”Headache Master School 2013 in Asia”が行われました。教育陣として、頭痛医学の世界のトップエキスパート軍団14人が引っ越し公演のように東京に結集してくれました。生徒側は日本から104人、アジア(9か国)から48人が参加しました。会場の東京ステーションコンファレンスで丸2日間にわたるface-to-faceの集中教育が行われ、プレナリー講義、ディベート、ロールプレイとプログラムに工夫がこらされ、中でもグループ・ラーニングに重点がおかれました。世界のトップエキスパートから直接学ぶことが貴重な体験になり、将来への励みになると期待されました。実際、生徒の真剣さには頭の下がる思いでした。今回、ポスト・ラーニングにも工夫がこらされ、レクチャーで使用されたスライド集が質問とともに全生徒に送付され、返信された解答が採点されます。2日間の強行スケジュールで吸収できなかった講義を丸々復習できる方式です。講師陣の許可がいただければ、IHSのホームページに教育内容を掲載する予定です。
今年は桜の開花が例年になく早く、Master School の会期中(3月23~24日)には満開になってくれました。ライトアップされた千鳥ヶ淵の桜は幻想的で、ボランティア的に集まってくれた世界のエキスパートにこれ以上ない心づくしとなりました。次回のアジア・マスタースクールは2015年に北京で行われる予定です。

(2)頭痛医療のために、頭痛専門医制度を推進する

日本頭痛学会では平成17年に頭痛専門医制度を発足させました。現在756人が専門医と認定されています。4年前より試験制度が確立しました。初期に移行措置として書類審査により認定された専門医には追加試験が行われ、併せて生涯教育の充実など、頭痛専門医のレベル向上のために多くの努力がされてきました。
しかし未だに一般市民の多くは、自分が難渋している頭痛を専門的に診療してくれる医療機関がどこにあるのかが分からず、頭痛医療の進歩の恩恵に浴していないのが現状です。頭痛学会では「開かれた頭痛医療」をめざし、頭痛専門医を広告可能とするよう厚労省、専門医機構と折衝を続けてまいりました。鈴木則宏理事(専門医制度担当)を中心とし、平田幸一理事(教育関連担当)、北川泰久理事(総務担当)をはじめとした多くの方々が努力してきました。
「頭痛」は症候としての側面(二次性頭痛)もさることながら、疾患としての側面(一時性頭痛)が大きいことが行政、医療機関、社会一般に十分に認識されていません。片頭痛をはじめとして、「頭痛そのものが病気である」ことは、その疾患概念が確立されてきたことからも明らかです。しかし、頭痛医療の重要性についての対外的なアッピールは未だに不十分です。欧米諸国でも同様の悩みをかかえており、米国頭痛学会では本年より「片頭痛医療推進の大キャンペーン」が展開されています。
専門医制評価・認定機構の頭痛学会に対する久しぶりのヒアリングが8月2日にあります。鈴木則宏理事が中心となって準備をしており、北川泰久理事と私もヒアリングに参加します。日本頭痛学会が一丸となって取り組む事業の一環だと考えています。

(3)定款改訂に伴う代議員選挙

定款改訂が昨年の総会で承認されたことに伴い、今年は代議員の選挙が行われます。現在、日本頭痛学会の会員数は2,250人です。本学会は内科系、外科系の多診療科からの会員が頭痛医療推進のために力を合わせています。学会運営方式もまた、より良い形に脱皮していく必要があります。
今後の学会の運営、あり方につき、会員の皆様方の声をお聞かせ下さい。

【2】第41回 頭痛学会総会のご案内

総会会期
平成25年11月15日(金)、16日(土)の2日間
テーマ
頭痛診療の均てん化―Ubiquitousな診療をめざして―
会長
寺山 靖夫(岩手医科大学医学部 内科学講座 神経内科・老年科分野)
総会会場
いわて県民情報交流センター「アイーナ」TEL 019-606-1717
〒020-0045 岩手県盛岡市盛岡駅西通1-7-1 (JR盛岡駅より徒歩5分)
演題募集期間
平成25年5月15日(水)~7月31日(水)
ホームページ
http://jhs41.umin.jp/outline/index.html

多数の方々のご参加をお待ちしております。

【3】平成25年度日本頭痛学会代議員選挙について

日本頭痛学会は、日本頭痛学会代議員選出細則(平成24年11月18日制定)の規定に基づき、平成25年11月総会終了後から平成27年11月総会終了まで(2年)を任期とする代議員を選出するため、選挙を実施しますのでお知らせします。この日程は、ホームページ等で公示しますのでご注意ください。
http://www.jhsnet.net/pdf/jhs_dagiin.pdf

【4】国際頭痛分類第3版(ICHD-III)beta版の発表について

この度、国際頭痛学会誌 Cephalalgia 2013年7月号に国際頭痛分類第3版(ICHD-III)のbeta版が発表されました。1998年に初版、2004年に第2版が発表された後、これまで数回の修正が行われてきましたが、今回で3回目の大改訂となります。詳細につきましては日本頭痛学会、国際頭痛学会ホームページをご参照ください。
http://www.jhsnet.net/kokusai_3_beta.html、国際頭痛学会 http://www.ihs-headache.org/

【5】最近の頭痛研究トピックス

なぜストレスによって頭痛は増悪するのか?―視床下部と三叉神経脊髄路核との連絡線維とその機能
Robert C, et al. Paraventricular hypothalamic regulation of trigeminovascular mechanisms involved in headaches. J Neurosci 2013;33:8827-8840.
掲載日:2013/07/18

前兆のない片頭痛の発作時における頭蓋内および頭蓋外動脈のMRA所見
Amin FM, et al. Magnetic resonance angiography of intracranial and extracranial arteries in patients with spontaneous migraine without aura: a cross-sectional study. Lancet Neurol 2013;12:454-461.
掲載日:2013/05/20

詳細につきましてはホームページをご参照ください。(http://www.jhsnet.net/zutu_topics.html

編集後記

【日本頭痛学会 企画・広報委員会】

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