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片頭痛の急性期治療薬にはどのような種類があり, |
推奨 |
片頭痛急性期治療薬には,一般的には1)アセトアミノフェン,2)非ステロイド系抗炎症薬 (NSAID s ) ,3)エルゴタミン製剤,4)トリプタン系薬剤,5)制吐薬があり,片頭痛の重症度に応じた層別治療が推奨される.すなわち,軽度〜中等度の頭痛にはアスピリン,ナプロキセンなどの NSAIDs ,中等度〜重度の頭痛,または軽度〜中等度の頭痛でも過去に NSAIDs の効果がなかった場合にはトリプタン系薬剤が推奨される.いずれも場合も制吐薬の併用は有用である.エルゴタミン / カフェイン製剤は,発作回数が少なく発作早期使用で満足な効果が得られている患者やトリプタン系薬剤で頭痛の再燃が多い患者では使用される |
推奨のグレード |
A |
背景・目的 |
急性期治療に求められることは,片頭痛発作を確実に速やかに消失させ,患者の機能を回復させることである.理想的な治療薬は,1)痛みと随伴症状を迅速に消失,2)効果が一定している,3)再発がない,4)薬剤の追加使用が不要,5)副作用がない,6)患者自身で使用可能である,7)経済的である,という条件を満たすことが望まれる.さらにおのおのの患者において,発作頻度,強さ,日常支障度の程度,随伴症状,患者の嗜好,過去の治療歴,既往歴などを考慮し,適切な薬剤を選択することになる. |
解説・エビデンス |
片頭痛急性期治療薬には,一般的には1)アセトアミノフェン,2)非ステロイド系抗炎症薬 (NSAID s ) ,3)エルゴタミン製剤,4)トリプタン系薬剤,5)制吐薬があり,さらに片頭痛発作重積や治療抵抗性片頭痛発作などの重症片頭痛に対して,6)鎮静薬や7)コルチコステロイド,8)利尿剤などが使用される場合がある 1)-11) .これらの薬剤をどのように選択し,使い分けるかについては, “step-care” と ”stratified-care” がある . ”Step-care” は最初は安全性が高く安価な薬剤を投与し,最初の治療の効果がみられたかった場合にトリプタンなどのより高価な特異的治療にすすんでいく,という方法である.一方 “stratified care” は片頭痛による支障の重症度に応じて治療薬を選択する方法である.ランダム化試験では stratified-care の有効性が示された 12) .米国頭痛コンソーシアムガイドライン,日本神経学会慢性頭痛治療ガイドラインでは EBM を用い,データのない場合には専門家の合意を取り入れている 11) .また片頭痛の重症度に応じた層別治療を推奨している.すなわち,軽度〜中等度の頭痛には NSAIDs または NSAIDs +制吐薬,中等度〜重度の頭痛,または軽度〜中等度の頭痛でも過去に NSAIDs の効果がなかった場合には片頭痛特異的治療(トリプタン系薬剤など)が推奨されている.米国頭痛コンソーシアムガイドライン,カナダのガイドラインではアセトアミノフェンは片頭痛に有効性はないとしているが,英国の BASH マネージメントガイドラインではステップ1の治療として,アスピリン 900mg とともにアセトアミノフェン 1000mg を推奨している 9 ) .エルゴタミン製剤のなかでは重症片頭痛発作に対してジヒドロエルゴタミン静注の効果は高いが本邦では未発売である.エルゴタミン+カフェインの経口薬はトリプタン系薬剤との RCT ではいずれも有効性は劣るが,発作開始直後の使用では効果がみられる患者もあり,トリプタン系薬剤に比し安価であることから,現在でも一部の患者には使用されている 13) .トリプタン系薬剤は経口薬(口腔内速溶錠・崩壊錠含む),点鼻液,皮下注射薬がある.点鼻液,皮下注射薬は悪心・嘔吐がある場合や急激に頭痛が増強した場合によい適応となる.水なしで飲めるタイプの経口薬は外出先などで使用できるため利便性が高く,患者の生活様式,希望に応じて使い分けをする.治療薬を処方する場合は,薬剤が無効の場合のレスキューとして,また片頭痛発作のステージによる使い分けを患者自身が行うことができるよう,トリプタン系薬剤と NSAIDs ,制吐薬を処方することも必要となる場合がある.急性期治療薬を処方する上で,患者にはいずれの薬剤も3ヶ月を超える定期的乱用により薬物乱用頭痛をきたす可能性があることを説明し,注意をうながす.また薬剤処方にあたり,禁忌となる状態や妊娠・授乳の有無を確認する.片頭痛発作重積では,静脈を確保し,水分・電解質の補給を行うとともに,制吐薬の非経口投与,鎮静剤,スマトリプタン皮下注射,コルチコステロイドなどを組み合わせる.
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参考文献のリスト |
1) Matchar DB, Young WB, Rozenberg JH, Pietrzak MP, Silberstein SD, Lipton RB,
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検索式・参考にした |
04/12/02 migraine & manegement 792 migraine & “acute treatment” 376 migraine & {management OR “acute treatment”} 1136 migraine & {management OR “acute treatment”} & guideline 37 migraine & {“step care” OR “stratified care”} 16 |