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エルゴタミン製剤はどう使うか |
推奨 |
エルゴタミン/カフェイン配合薬は痛みが中等度 ~ 重度となった頭痛には効果は少ないが,トリプタンで頻回に頭痛再然がみられる患者には使用価値がある.早期服用での効果は NSAIDs と同等もしくは劣っており,副作用として嘔吐があるため,使用は限られる.また妊娠中・授乳中の使用は禁忌である |
推奨のグレード |
B |
背景・目的 |
経口エルゴタミン・カフェイン配合薬は長い間,片頭痛の特異的治療薬として使用されてきたが,悪心をきたすことが多く,また長期乱用による副作用の警告がなされてきた.トリプタン系薬剤の登場以来,比較試験ではいずれもトリプタン系薬剤に比し有効性が劣り,特異的治療としての役割は限られてきている.
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解説・エビデンス |
経口エルゴタミンまたはエルゴタミン/カフェイン配合薬は 30 年以上にわたり,片頭痛発作急性期治療薬として使用されてきた.しかしプラセボを対照とした臨床試験は少なく,有効性も一定していない 1) .他剤との RCT (注射薬を除く)はトリプタン系薬剤(5件) 2) 3) 4) , NSAIDs (6件) 5) 6) 7) ,アスピリン(2件) 8) などが実施されている.トリプタンはエルゴタミン製剤より改善効果がはやく,随伴症状の改善も優れているが,スマトリプタンとの比較では,カフェルゴット の方が 48 時間以内の再燃が少なかった 2) . NSAIDs との比較では,トルフェナム酸とは同等 4) ,ナプロキセン 5) ,ジクロフェナク,ケトプロフェン 6) ,ピルロフェン 7) ,アスピリンには劣り 8) ,副作用は同等もしくは嘔吐が多かった.痛みが中等度〜重度となった時点でのエルゴタミン配合薬の経口投与は効果が少ない.早期服用で効果がみられる患者もいるが,効果がなかった場合,レスキュー薬として 24 時間以内にトリプタン系薬剤を使用できないため,使用の場は限られる.また,エルゴタミン製剤は子宮収縮作用,血管収縮作用があるため妊娠中の連用は非常に危険であり,添付文書と米国 FDA では妊娠中は禁忌,虎ノ門病院の基準では薬剤の催奇形危険度評価3点(連用では4点)と評価されている.
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参考文献のリスト |
1) Dahlof C. Placebo-controlled clinical trials with ergotamine in the acute |
検索式・参考にした |
Migraine & ergotamine 854 |