㈸−7
新規発症持続性連日性頭痛はどのように診断し治療するか

 

推奨
1.  診断
新規発症持続性連日性頭痛は,国際頭痛分類第 2 版( ICHD- ㈼)に準拠して診断する
2.  治療
新規発症持続性連日性頭痛の治療法に関し明確な基準は無いが,自然に寛解するタイプと,積極的治療法に抵抗性を示す難治性のタイプがあり,長期間頭痛が持続している症例は積極的に薬物による治療を行った方が良いが,治療効果は良くない
推奨のグレード

診断:A
治療:C

 

 

背景・目的

新規発症持続性連日性頭痛は, ICHD- ㈼に新しく採用された疾患概念である.しかし最近まで報告は少なく,頭痛の性状,治療効果,予後など詳しいことは不明であった.診断する際に頭痛の発症様式が大切であり,二次性のものを除外する事が重要であると考えられてきた.


解説・エビデンス

新規発症持続性連日性頭痛は ICHD- ㈼で,緊張型頭痛でなく,その他の一次性頭痛に分類された 1) .慢性緊張型頭痛の症状と類似点は多いが,異なる頭痛である.つまり発作初期から連日性で寛解期がない.また二次性頭痛(低髄液圧,外傷後,感染症後など)を除外することが重要である.
診断基準:
 A. B-D を満たす頭痛が 3 ヵ月を超えて続く
 B. 頭痛が,発症時または発症後, 3 日未満から寛解することなく,連日みられる
 C. 次の痛みの特徴のうち少なくとも 2 項目を満たす
  1. 両側性
  2. 圧迫感または締めつけ感(非拍動性)
  3. 程度は軽度〜中等度
  4. 歩行または階段を昇るなどの日常的な動作により増悪しない
 D. 以下の両方を満たす
  1. 光過敏,音過敏,軽度悪心は,あっても 1 項目のみ
  2. 中等度または重度の悪心,嘔吐のいずれもない
 E. その他の疾患によらない
診断は,過去に頭痛の既往が無く急激に発症し,その後頭痛がずっと続くという問診が得られれば容易である.新規発症持続性連日性頭痛の臨床像に関して, 3 件の症例集積研究がある.成人例は 2 件であり, 1 件は片頭痛様の症状を伴う頭痛であるとしており 2) ,もう 1 件は慢性緊張型頭痛に類似した症状であり,積極的な治療法に抵抗性を示す症例が多く,頭痛専門施設を受診する症例では半数は改善しないとの報告 3) である.小児例を検討した文献では 4) ,感染症,外傷後などの二次性の頭痛を除くと,かなり症例数が少なくなり,小児の場合は二次性に起こる可能性が高いと思われる.

参考文献のリスト

1) Headache Classification Committee of the International Headache Society.
  Classification and diagnostic criteria for headache disorders, cranial neuralgias
  and facial pain. Cephalalgia 2004; 24(Suppl 1): 1-160.
2) Li D, Rozen TD. The clinical characteristics of new daily persistent headache.
  Cephalalgia 2002; 22:66-9.
3) Takase Y, Nakano M, Tatsumi C, Matsuyama T. Clinical features, effectiveness
  of drug-based treatment, and prognosis of new daily persistent headache
  (NDPH): 30 cases in Japan . Cephalalgia 2004; 24:955-9.
4) Mack KJ. What incites new daily persistent headache in children? Pediatr
  Neurol 2004; 31:122-5.

 

検索式・参考にした
二次資料

new daily persistent headache 52
検索 DB :  PubMed (04/11/07)