日本頭痛学会

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片頭痛患者身体活動の客観的計測

Rogers DG, et al. Objectively measured physical activity in migraine as a function of headache activity.
Headache 2020 doi: 10.1111/head.13921

 

【背景・目的】

 片頭痛患者では、頭痛発作中は運動によって頭痛増悪が生じるため身体活動は低下する。しかし、発作間欠期を含めた客観的な身体活動を観察した研究は少なく、実態は明らかではない。本研究では、片頭痛患者、緊張型頭痛患者、頭痛のない対照者の3つの群を対象に、①身体活動の群間比較、②片頭痛患者と緊張型頭痛患者に関しては頭痛のある日と頭痛のない日における身体活動の比較、に着目して検討を行った。

【方法・結果】

 米国南部の大学構内で対象者を募集した。167名の参加者があったが、最終的には100名を対象とした。片頭痛あるいは緊張型頭痛かの判定はStructured Diagnostic Interview for Headache第3版 (SDIH-3)によって行われ、片頭痛患者28名、緊張型頭痛患者37名、頭痛のない対照者35名と診断された。全群の男女比は、81:19であり、平均年齢は19.0 ± 1.7歳であった。身体活動計測にはOmron HJ-112歩数計が用いられ、最高で7日間の歩数を記録した。覚醒時間の75%以上で歩数計を装着された場合を有効データとみなした。頭痛の発生状況、睡眠時間、うつ・不安の状態 (Depression Anxiety Stress Scale-21: DASS-21で評価)、BMI、HIT-6も同時に記録した。全群をあわせると516日分の有効な身体活動データが得られた。片頭痛患者と頭痛のない対照者の間では、観察期間中の1日当たりの平均歩数がそれぞれ6847歩と8573歩であり、平均差-1726 (95%信頼区間 -3135~-318歩, P = 0.017)と統計的有意差が認められた。平均差については、心理学的症状、BMI、記録された曜日を考慮して補正した後でも、頭痛のある日 (6986対9958歩, P = 0.017)と頭痛のない日 (5987対8610歩, P = 0.002)の両者で有意差が確認できた。一方、片頭痛患者と緊張型頭痛患者との比較、緊張型頭痛患者と頭痛のない対照者との比較においては有意差が認められなかった。また、片頭痛患者と緊張型頭痛患者での、頭痛のある日と頭痛のない日の身体活動の間にも有意差が確認されなかった。

【結論・コメント】

 片頭痛患者では頭痛のある日のみならず頭痛のない日においても身体活動が低下していることが明らかとなった。片頭痛患者では、発作間欠期においても身体活動を避けようとする行動パターンを取っている可能性が明らかになった。その理由としては、身体活動によって頭痛発作が誘発されることを予期することで身体活動を抑制する習慣が身についている可能性 (恐怖条件付けに類似した反応)や、発作後のpostdromeが反映されている可能性などが考えられるが、正確な機序の解明にはさらなる研究が必要と思われる。頭痛のない日においても身体活動が抑制されていることは、片頭痛患者の機能性低下や生産性低下を考える上で、重要な所見と指摘できる。