群発頭痛
群発頭痛(cluster headache)
群発頭痛は眼周囲~前頭部、側頭部にかけての激しい頭痛が数週から数ヵ月の期間群発することが特徴です。夜間、睡眠中に頭痛発作がおこりやすく、頭痛発作時に眼の充血や流涙、鼻汁や鼻閉、縮瞳と眼瞼下垂(まぶたが下がること)などの症状を伴うことが多いことも特徴です。また、頭痛発作中は落ち着かず興奮したような状態になる方が多く、動けなくなる片頭痛とは対照的です。
群発頭痛の診断基準(国際頭痛分類第3版)
B.(未治療の場合に)重度~きわめて重度の一側の痛みが眼窩部、眼窩上部または側頭部のいずれか
1つ以上の部位に、15~180 分間持続する
C. 以下の1項目以上を認める
①頭痛と同側に少なくとも以下の症状あるいは徴候の1項目を伴う
a) 結膜充血または流涙(あるいはその両方)
b) 鼻閉または鼻漏(あるいはその両方)
c) 眼瞼浮腫
d) 前頭部および顔面の発汗
e) 縮瞳または眼瞼下垂(あるいはその両方)
②落ち着きのない、あるいは興奮した様子
D. 発作の頻度は1回/2日~8回/日である
E. ほかに最適なICHD-3の診断がない
群発頭痛は、頭痛発作が群発することが頭痛名の由来ですが、現在では頭痛の性状と随伴症状に主眼がおかれていて、1年以上頭痛発作を繰り返すものを慢性群発頭痛といいます。群発頭痛は20~30才代に多く約85%は男性とされていましたが、最近の調査では男女差が縮小してきて女性の群発頭痛も稀ではありません。
群発頭痛の治療に際しては、まず患者さん御自身が群発頭痛について知識を得て理解すること、頭痛発作時の対症急性期療法と予防療法をうまく組み合わせて行うことが重要です。頭痛発作時の急性期治療としては、スマトリプタンの皮下注射(保険適用)、酸素吸入(マスクで純酸素7~10L/分、15分間)(2018年4月に群発頭痛の在宅酸素療法の保険適用が承認されました)が効果的です。群発頭痛の発作に通常の鎮痛薬は無効です。酒石酸エルゴタミンも頭痛発作が起こってから使用してもほとんど効果がありません。
群発期には予防療法が必須です。頭痛発作はほとんど毎日繰り返し起こり、1回の頭痛発作は比較的短時間であるため、頓挫薬のみでは十分な治療が困難だからです。予防療法には高用量のベラパミル(適用外使用)が最もよく使用され、国際的な標準薬です。また、副腎皮質ステロイド(適用外使用)もよく使用されます。慢性群発頭痛の予防には炭酸リチウム、バルプロ酸などが有効とされています。