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急性頭痛成人患者の評価と管理の臨床指針(米国救急医学会)

米国救急医学会(ACEP)は、急性頭痛を訴えて救急診療部(ED)を受診する成人患者の評価と管理に関するエビデンスに基づいた臨床指針を2009年に発表した。
この指針は、clinical question形式を採用している。今回の指針で示された重要な5項目のclinical questionは以下のとおり。

(1)急性頭痛の病因を治療に対する反応から予測できるか
(2)頭痛を訴える患者のうち、EDで神経画像が必要なのはどのような患者か
(3)非外傷性くも膜下出血の検査中で、造影剤を使用しない脳CTスキャンで正常と判断されたED受診患者に通常、腰椎穿刺(LP)は必要か
(4)神経画像なしにLPを安全に実施できるのはどのような患者か
(5)突発性重度頭痛患者でCT、LPとも結果が陰性の場合、緊急の画像診断がさらに必要か
詳細は、Medical Tribune[2009年3月12日号(VOL.42 NO.11) p.33を参照

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=0&order=1&page=0&id=M42110332&year=2009

オリジナル:
Edlow JA, et al.: Clinical policy: critical issues in the evaluation and management of adult patients
presenting to the emergency department with acute headache. Ann Emerg Med 52:407-36, 2008

http://www.annemergmed.com/article/S0196-0644(08)01463-7/fulltext

委員からのコメント
質問(1)について:
トリプタン系薬剤が有効だからといってくも膜下出血を否定してはならないということである。


1. 頭痛を呈する患者の評価として基本となるのは、既往歴と身体診察である
2. 突発性重度頭痛を呈する患者の10~15%には良性ではない原因が認められ、最もよく見られるのがくも膜下出血である
3. 突発性重度頭痛の鑑別診断としてはくも膜下出血のほかに、下垂体卒中、脳静脈洞血栓症、動脈解離、脳卒中などがあり、疑いがある患者には、さらに検査が必要である