京都頭痛宣言

2005年10月に京都にて開催された第12回国際頭痛学会(坂井文彦会長)における「京都頭痛宣言」の日本語訳です。

※英語原文はこちら

頭痛からの解放世界キャンペーン
「苦しみからの解放」
京都頭痛宣言
(2005年10月9日)

  • 頭痛は脳神経系に起因する疾患であり、脳に悪影響を及ぼす
  • そのなかでも、片頭痛は仕事や日常生活に支障をきたす主要疾患のトップ20に入っておりまた女性では12番目の疾患でもあり、次のことが推定されている。
    1. 日本だけでも800万人におよぶ有病率を数え.
    2. 片頭痛発作により毎日60万人の日本人が苦痛を感じ、人間らしい生活を妨げられている
    3. 頭痛による生産性の低下により、毎年2,880億円の経済的損失を、日本経済にもたらしている
    4. また西太平洋地区全域においても同様に、多くの有病者が存在し、多大な生活上の支障、経済的損失を生じせしめている
  • すべてを総合すると、片頭痛以外の頭痛もやはり同様の、またはそれ以上の負担を人、社会、そして経済に与えている

その一方

  • ほぼ全ての頭痛に対し、効果的な治療手段が存在しており、
  • 頭痛治療に要する費用は、生産性が改善されることにより、相殺される
  • それにもかかわらず、これらの人的・社会的損失が存続しているということは、頭痛に悩み苦しむ患者に本来提供されるべき治療を、医療側が提供できていないことを意味する

よって

  • 我々世界保健機構、世界頭痛連盟、国際頭痛学会、そして欧州頭痛連合は、合同して「苦しみからの解放」という、世界キャンペーンに参加し、西太平洋地区のみならず、全世界の各地域において関連機関や人々と協力し、頭痛による世界的損失を減らすという公衆衛生学的に重要な課題に取り組む。

そのために我々は、次のことを宣言する

  • 各地域における「苦しみからの解放」活動にともに取り組みまたその活動を支援することにより、頭痛対策に重要な課題を認識させる
  • 最初のステップとして、日本における医学、科学及び一般の関連機関と協力して、以下の事柄を推進する
    1. 日本国民に対して、頭痛は治療が可能でかつ治療が必要な疾患であるという認識を確立する
    2. 医療従事者向け教育プログラム導入により頭痛の診断能力と治療技術を向上させる
    3. 診断ツール、診療ガイドライン、アウトカム評価法を作成し普及する
    4. これらのメッセージを医療行政に携わる省庁や行政機関に伝え喚起を促し、頭痛により生活に支障をきたしている人々のためによりよい医療サービスが提供できるように、理解を求めるものである
    5. 日本の頭痛患者に対するこれらの推進活動の効果を評価判定して、有益な変革の成果をもたらしているか否かを検証するこの京都宣言は、西太平洋地区全域を通じて、頭痛の苦しみからの解放という目的向かっての第一歩とするものである
Fred Sheftell
世界頭痛連盟議長
Peter Tfelt-Hanssen
国際頭痛学会会長
Fumihiko Sakai
日本頭痛学会会長

Timothy Steiner
頭痛の苦しみからの開放世界キャンペーン

 

「京都宣言」英語原文