日本頭痛学会ニュースレター23号 2016年1月 新春号

  1. 日本頭痛学会代表理事 鈴木則宏先生より新年のご挨拶
  2. 頭痛診療に関心をもつ小児科医の集い(JHP)について
  3. 頭痛専門医試験受験のための研修歴および症例要約作成について
  4. 「日本頭痛学会頭痛専門医問題集」の書籍のご紹介
  5. 専門医委員会より頭痛専門医試験の講評を掲載しています。
  6. 最近の頭痛研究トピックス(広報委員会から最新の論文をご紹介)

【1】日本頭痛学会代表理事 鈴木則宏先生より新年のご挨拶

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日本頭痛学会理事
鈴木 則宏 先生(慶応義塾大学 神経内科教授)

2016年 新年のご挨拶
皆様、明けましておめでとうございます。学会員の皆様には、新たな希望を胸に、さわやかな新春を迎えられたことと存じます。
さて、2015年は学会事業としてガイドライン作成委員会により作成された「慢性頭痛の診療ガイドライン2013」の英文化が実現しました。これは、日本神経学会の国際誌Clinical Neurology & Neuroscienceに掲載され、さらに広報委員会の努力により国際頭痛学会のHPにリンクされ、わが国の頭痛ガイドラインが世界に向けて発信されるようになりました。また、専門医委員会からは「日本頭痛学会頭痛専門医問題集」が編集され11月に発刊されました。頭痛の知識の普及と頭痛専門医を全国に分布させることにより、日本の頭痛医療を均霑化させることが日本頭痛学会の使命の一つであります。頭痛専門医受験者数の伸び悩みが最近の懸案でありましたが、この問題集の発刊が受験者増につながればと期待しています。
日本頭痛学会は現在、会員数2000人以上の大規模な学会となり、専門医・指導医の育成も順調に進んでおります。また、年次学術総会は年を経るごとに演題数、参加者数ともに漸増しており、その勢いはますます上昇気流に乗っているということができると思います。しかし、学会の成長の速度と規模の成長に見合う会員管理のデータベース化などの事務局の整備、日本専門医機構による専門医制度改革に対する対応、教育施設・機関の整備、雑誌の電子ジャーナル化、国際学会での地位向上、わが国における頭痛診療の向上と社会保険評価の改善、など解決すべき課題が山積しています。学会が一丸となり、これらの問題を一つ一つ解決し整備していかなければならないと思います。
第43回日本頭痛学会総会は、故濱田潤一会長の遺志を継ぎ、代表理事が会長代行を、北里大学神経内科学西山和利教授が実行委員長を担当し、2015年11月東京にて開催されました。参加者1,100余名と参加者数では最長不倒の記録を樹立しました。北里大学医学部神経内科学教室の皆さまのご努力に対しまして改めて御礼申し上げます。本年は第44回日本頭痛学会総会が10月21・22日の会期で京都にて立岡良久会長のもとで開催されます。会員のパワーが結集して一層素晴らしい会になることを確信しております。本年も皆様方のご活躍とご協力とを期待しています。

【2】頭痛診療に関心をもつ小児科医の集い(JHP)について

日本頭痛学会に集う小児科医から、小児頭痛の特殊性を考え、小児科医間で情報を交換する機会がほしいとの要望がありました。そこで、頭痛に関心のある小児科医の先生方にお声をおかけし、第43回日本頭痛学会中の11月13日に「第1回頭痛診療に関心をもつ小児科医の集い」を開催しました。日本頭痛学会において、小児科医の会員は未だ少なく、頭痛に悩む子どもたちのためにも、小児科医に子どもの頭痛診療の必要性を啓発し、日本頭痛学会の会員を増やしていくことが重要と考えます。今後も「頭痛診療に関心をもつ小児科医の集い(Japanese Headache Meeting of Pediatricians : JHP)」として継続して活動して参りますので、多くの趣意に賛同される小児科医の先生方の参加を期待しております。
事務局連絡先:「頭痛診療に関心をもつ小児科医の集い(JHP)」世話人 藤田光江
筑波学園病院医局(FAX 029-836-1590)に、氏名、所属、メールアドレスをお送りください。
http://www.jhsnet.net/information/20151222_info.pdf

【3】頭痛専門医試験受験のための研修歴および症例要約作成について

日本頭痛学会では2005年より頭痛専門医制度を発足させ、2008年から客観的試験を実施しております。受験資格要件のひとつに、「頭痛関連学会での専門医認定研修期間中に2年以上の頭痛診療の研修を受けており,さらに日本頭痛学会認定施設基準で定めるところの教育施設、准教育施設、教育関連施設で3年の研修(通算5年以上の研修)が必要」と規定していました。同時に暫定的措置として教育施設、准教育施設、教育関連施設(以下、教育施設等と表記)以外での研修も認めてきました。しかし、2017年の専門医試験より教育施設等での研修が必須となる予定になっております。2017年以降の研修歴認定に関する要綱を下記のホームページで公開しております。多くの会員のみなさまが必要な研修を経て、十分な知識や臨床技能を修得して専門医を取得されることを期待しております。
https://www.jhsnet.net/information/20160112_info.htm

【4】「日本頭痛学会頭痛専門医問題集」の書籍のご紹介

専門医委員会から「日本頭痛学会頭痛専門医問題集」が編集され11月に発刊されました。頭痛専門医受験者のバイブルとして、この問題集が受験者のみなさまのお役に立てるものと期待しています。すでに専門医の先生におかれましても、頭痛の知識の再確認、患者指導にも有用な書籍と考えます。ぜひ、ご購入をご検討いだだけましたら幸いです。
http://www.nakayamashoten.co.jp/cgi-bin/menu.cgi?ISBN=978-4-521-74281-6

【5】専門医委員会より頭痛専門医試験の講評を掲載しています。

2015年8月1日に第8回日本頭痛学会専門医試験が東京で実施されました。その講評です。ぜひ、ご高覧ください
http://www.jhsnet.net/information/20151126_info.htm)。
同時に専門医試験症例要約の優秀例も掲載しております。来年度受験予定の方は、ぜひご参加いただきたくご案内申し上げます。(症例要約 http://www.jhsnet.net/pdf/syourei.pdf)また、来年度以降、研修を開始される方のために、「研修カリキュラム(研修手帳)」も作成いたしました。詳細につきましては、日本頭痛学会 HPで最新の情報をご確認していただけますと幸いです。(日本頭痛学会 研修カリキュラム(研修手帳):http://www.jhsnet.net/pdf/Curriculum.pdf

【6】最近の頭痛研究トピックス(広報委員会から最新の論文をご紹介)

TEV-48125の慢性片頭痛の予防効果
Bigal ME, et al. Safety, tolerability, and efficacy of TEV-48125 for preventive treatment of chronic migraine: a multi-centre, randomized, double-blind, placebo-controlled, phase 2b study. Lancet Neurol 2015
掲載日:2015/10/29

妊娠女性における急性頭痛の診断
Robbins MS, et al. Acute headache diagnosis in pregnant women. A hospital-based study. Neurology 2015;85:1-7.
掲載日:2015/09/08

家族性片麻痺性片頭痛1型ノックインマウスにおけるカルシウム動態とシナプス形態異常
Eikermann-Haerter, K et al. Abnormal synaptic Ca2+ homeostasis and morphology in cortical neurons of familial hemiplegic migraine type 1 mutant mice. Ann Neurology 2015;78:193-210.
掲載日:2015/09/08

編集後記

【日本頭痛学会 企画・広報委員会】

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